目次
「とりあえずメニューを投稿」では、集客は動かない

Instagramに力を入れている飲食店のアカウントを見ると、丁寧に撮影された料理写真やメニュー紹介動画が並んでいることが多い。投稿のクオリティは高い。しかし、来店客数はなかなか増えない——そんな悩みを抱えているオーナーや担当者は少なくないはずだ。
くまはSNSプロモーターとして、これまで200店舗以上の飲食店を訪問し、動画制作・投稿を手がけてきた。焼肉店、居酒屋、和菓子屋、ホテルなど、業種を問わずコンサルティングにも携わってきた経験から、ひとつの確信がある。「メニュー紹介の投稿だけでは、集客にはつながらない」ということだ。
では、何が有効なのか。飲食店がInstagramで集客を実現するための方法は、大きく二択に絞られる。本記事では、その二択の内容と特徴、そして選び方の考え方を整理して解説していく。
—
なぜメニュー投稿では集客できないのか

まず前提として、なぜメニュー紹介の投稿が集客に結びつきにくいのかを押さえておきたい。
Instagramのアルゴリズム上、投稿がオーガニック(広告費をかけない自然な流通)で広く届くためには、継続的な投稿と相応の時間が必要だ。リールを2〜3日に1本のペースで投稿し続けても、地域に認知されるまでには半年単位の時間がかかることも珍しくない。
さらに根本的な問題がある。飲食店のメニューは、そう頻繁には変わらない。うどん屋であれば、肉うどん、ごぼう天うどん、わかめうどん……フォローしたとしても、同じようなメニューが毎日タイムラインに流れてくれば、次第に飽きられてしまう。飲食店のアカウントは、そもそもフォローされにくいという構造的な課題があるのだ。
この現実を踏まえたうえで、有効な二択の話に進もう。
—
二択その①:他者を頼る

一つ目の方法は、「他者を頼る」ことだ。ここでいう「他者」とは、人(者)と企業・プラットフォーム(社)の両方を指す。
インフルエンサー・一般客に投稿してもらう
まず「人」の力を借りる方法として、インフルエンサーへの依頼が挙げられる。フォロワー数の多いアカウントに実際に来店してもらい、投稿してもらうことで、一気に多くのユーザーへリーチできる。
ただし、インフルエンサーだけが頼る対象ではない。意外と見落とされがちだが、一般のお客様による投稿やストーリーズも集客効果がある。友人同士でInstagramを活用しているユーザーは多く、「友達が行っていたあのお店、行ってみようかな」という流れは非常に自然に起きる。特に女性ユーザーの間ではこの傾向が顕著だ。
来店したお客様に「よかったらインスタに投稿していただけませんか?」と声をかけることや、投稿してくれた方にデザートをサービスするといった施策も、十分に効果的なアプローチだ。
Instagram広告を活用する
「社」の力を活用する方法が、Instagram広告だ。お店の宣伝動画を制作し、地域を絞って広告配信することで、実際にお店の近くにいる潜在顧客にピンポイントでリーチできる。半径何キロ以内、特定の市区町村など、ターゲットを細かく設定できるのが強みだ。
この方法のデメリットは、コストがかかることだ。インフルエンサー起用には数万円〜数十万円、広告出稿にはその運用費用、動画制作を外注すればさらに制作費が発生する。一方で、自社スタッフの時間はほとんど奪われないため、「お金で時間を買う」戦略として位置づけることができる。
—
二択その②:エンタメに振り切る

二つ目の方法は、「エンタメに振り切った運用」だ。
料理の紹介ではなく、「見ていて楽しい・思わず笑える」コンテンツを発信し続けることで、フォロワーを獲得し、お店を日常的に思い出してもらう存在になることを狙う戦略だ。
具体的には、スタッフ同士のドッキリ企画、人気メニューランキングをスタッフが当て合うクイズ形式、業種にちなんだ「あるある」ネタ、ちょっとしたクスッと笑えるシュールな演出など、業種や店の個性を活かしたバリエーションが考えられる。
こうしたエンタメコンテンツがフォローされやすい理由は明確だ。毎回異なる展開があり、見続けることに価値がある。フォローされるということは、お客様との接触頻度が上がるということであり、「今日はどこに行こうか」と考えたときの第一想起に入りやすくなる。
この方法のデメリットは、時間と人的リソースが必要なことだ。2〜3日に1本のペースで投稿を継続するには、企画・撮影・編集のサイクルが必要になる。スタッフを巻き込む必要があることも多く、店舗オペレーションとの兼ね合いを考える必要がある。
—
どちらを選ぶか——腹を括って半年間走り続ける
どちらが正解というわけではなく、店舗の状況や使えるリソースによって判断が変わる。ただし、両方を中途半端に手がけるよりも、どちらか一方に絞って集中投下するほうが成果は出やすい。
これからInstagramに本気で取り組もうと考えているなら、まずどちらの戦略を選ぶかを明確に決める。そして決めたら、最低でも半年間は走り続ける覚悟を持ってほしい。
メニュー投稿を積み重ねることに時間とエネルギーを費やすよりも、正しい方向に力を注ぐことが、飲食店のインスタ集客を動かす第一歩になる。